トランプ、岸田首相も主張していた「四半期決算」の問題点

トランプ、岸田首相も主張していた「四半期決算」の問題点

なぜ「四半期決算及び開示」は不要か、日本・世界初の検証データ・理由等について

(金融審議会・作業部会、企業会計審議会、企業会計基準委員会の委員の皆様に読んでいただきたいこと)

 

今般、四半期決算・その開示に関し、政府方針が打ち出され、それなりに審議されました。しかし、政府方針は四半期廃止を前提とした抜本的見直しが看板政策のはずでしたが、抜本的見直しに至らず、四半期の開示頻度は変えず、「四半期開示を決算短信に一本化」するという妥協策の方向ですすんでいるように思われます。

 

遡って、これまで四半期開示に関する諸見として、4年前の2018年(平成30年10月30日付け)の日本経済新聞のOpinion欄に、「企業決算、四半期開示の是非」とする日米欧の3人の専門家の意見が大きくとりあげられ、紹介されました。世界の主要国が大筋としてどう考えていたかについて、参考になろうかと思いますので、その内容を要約してご紹介すると以下の通りです。

 

アメリカを代表する意見として、「米機関投資家協会事務局長」ケン・バーチュ氏の意見は、トランプ大統領が四半期開示をめぐり、米証券取引委員会に調査を指示した際、135の機関投資家で作る米機関投資家協会は、即座に「廃止反対」を表明した。その反対の理由は、欧州で四半期決算の法定開示義務が廃止されても、多くの企業が「任意で公表」を続けている。これは企業側がメリットの方が大きいと感じている証左であり、協会としても、「四半期決算を途中経過の報告と認識」していて、企業の行動が制限されるものではないとみており、結論として、「四半期決算の実績は途中経過を把握するうえで有用な情報であり、廃止すべきでない」と述べています。

 

一方、イギリスを代表する意見として、「英国投資協会最高経営責任者」クリス・カミング氏は、英国の機関投資家団体として四半期決算の開示をやめるよう英企業に促してきた。四半期決算はしばしば経営者に短期志向を強い、長期の目標に集中するのを妨げる要因になるからだ。企業は長期の視野で経営されるべきで、四半期開示をやめることは株主の利益にもつながる。開示に要する事務コストの負担も大きい。
四半期開示は上場企業に多大なコストを強いる。決算書を作るために3ケ月毎に、膨大なデータが集められ、経営者の貴重な時間が費やされる。そのエネルギーを顧客のために注いでほしいというのが、投資家としての希望である。四半期から半期開示への移行に対して、投資家が得られる情報量が減るという批判は完全な誤解だと思う。我々が欲しいのはより多くの情報ではなく、より良質でタイムリーな情報だ。半期決算の企業も、投資家に伝えるべき情報が生じた場合、決算発表を待たずに、速やかに発表すればよいだけのことである。トランプ大統領の見直し検討指示は歓迎しているが、依然とした米国の法的開示義務は他国の廃止推進を阻害しているように思う。等々イギリスは堂々と四半期決算反対意向を示しているのです。

 

 かたや、我が日本はどうであろうか、日本を代表する意見として、金融庁の金融審議会等各種の委員を歴任してきた東大法卒の早大教授・黒沼悦郎氏は、次のように述べている。四半期決算の開示の是非をめぐる議論は古くからある。1970年に米国が導入し、日本の研究者の間でも取り入れるべきとの声が上がった。日本での最初の導入は1999年だが、2004年にすべての上場企業に対象が拡大され、2006年の法改正で四半期開示は法定開示に格上げされた。経営環境の変化が激しくなり「投資家は四半期ごとの情報を欲しているというのが理由」だった。「事業年度の3ケ月、6ケ月、9ケ月の途中経過を発表させて進捗状況を確認するのが趣旨」で短期主義を助長する制度とは言えない。
業績を含めて経営に大きな変化があったら、直ちに情報を公開する適時開示だと考える。四半期など法定開示は適時開示の信頼性を高めている。「投資家に対する公平な情報開示をするという原則からも、四半期開示は望ましい。」企業は内部で業績をまとめており、開示の頻度が少ないと、特定の投資家のみに情報が伝わりかねない期間が長くなる。機関投資家と一般投資家の情報格差が開いてしまう問題がある。日本経済の成長には、規制を緩めて開示を後退させるより効果的な内容開示(の回数)が重要になる。結論として、機関投資家と一般投資家の間の情報格差を抑える働きとして、四半期開示は必要である。と述べています。

 

これまで、上場会社の決算実務を半世紀以上経験し、その経験を活かし、上場会社の決算分析を10年以上実施し、HPに公開、問題提起し、会計問題の解決に関与してきたものにとって、これまでの専門家の意見、経緯を鑑みるに、日本のみならず、世界の会計レベルがあまりにも低く、情けなく、哀れにさえ思われたので、今般あえて、不要論、簡略化論に関する問題提起をするものであります。  不要論等の根拠は別紙添付資料の通りですが、要約すれば、①鳴り物入りで始まった四半期決算はこの制度そのものが、初めから今日まで役に立たない無駄な作業であったこと。役に立たないだけでなく、企業にとって恥さらしのものであるだけに、恥を回避しようとして粉飾、不正会計の温床になっていること。②企業だけでなく、利害関係者の株主、国内外の投資家にとっても、国家にとっても役に立たず、無駄な努力で、企業力、国力を弱める結果になっていること。④更に日本国家の会計レベルが低レベルであることを諸外国にさらし、日本の国力を弱める結果になっていること。⑤回りまわって、日本の経済成長が低レベルで推移し、所得が20年以上あがらないことの遠因になっていること⑥役に立っている業種もあるが、この場合1Q,3Qは不要で無駄であること等々である。

 

四半期決算がなぜ役に立たず、無駄であり、不要なものなのか、各項目ごとに具体的に列挙すると以下のとおりです。

  1. A表(32社)の四半期赤字なのに、期末に黒字に転ずる企業について述べると、文字通り、四半期赤字なのに、期末に突然黒字の決算など、3ケ月、6ケ月、9ケ月の途中の経過を示す有用な決算情報であるはずないではありませんか。例えば、1Q、2Q赤字なのに、3Q、4Qで黒字開示が、3ケ月毎の経緯、経過を示すものでないことは、素人でも理解できるのではありませんか。1Qで赤字なのに、2、3,4Qで黒字の場合、何のための四半期か、1,2,3Q連続して赤字なのに、4Qで突然黒字になるとはいかなることか、経過など示すものではないでしよう。1,2Q黒字で、3Qで赤字なので4Qも赤字かと思いきや4Qが突然黒字になるとは、何のための四半期か、四半期など無駄そのものではありませんか。
  2. B表(25社)の四半期・連続赤字計上企業に関して述べると、赤字金額の大小はともかく、四半期連続赤字とは、何のために経営しているのか、四半期連続赤字でしたが、四半期開示義務を守って立派な経営姿勢でしよう、と思われたいのですか。赤字にせず、いかにしたら、黒字化すべきか、考えるのが、四半期決算の役割・使命なのではないのですか。四半期開示を投資家が望んでいるから導入したと主張していますが、連続赤字など、会社も、投資家も望んでなどいないことを理解できないのでしょうか。赤字決算やる時間あるなら、当方がかねがね主張している「利益予測のノウハウ習得」に時間を割くべきではありませんか。審議会の皆様にお尋ねしたいが、皆様は決算を組んだことあるのですか、簿記会計を学んだことあるのですか。決算をくみ上げるということは、大変な能力時間を必要とするのです。法律を学んだことのない人間が、あの制度いいとか悪いとか、決めつけたら皆様どう思われますか、なにを素人がと思うのではありませんか。皆様方が会計問題に関し何か意見があるようでしたら、最低限簿記会計の基本を身につけてから発言すべきではありませんか。
  3. C表(4社)の四半期黒字なのに、期末で突然赤字転落企業について述べると、これこそが、四半期決算など制度化の意味なしの典型で、何の役にも立たない証拠ではないですか。1,2,3Q連続黒字なのに、期末の4Qで突然赤字転落など、なんですかこれ。1Qで黒字、2,3,4Qで連続赤字、1Qの黒字とはまともな決算ですか。1Q赤字で、2,3Q連続黒字、期末4Qも黒字化と思いきや、4Qでまたもや赤字転落とはなにごとか、四半期など不要、無駄ではないですか、四半期決算など意味なしである。これで、途中経過を把握できるとか、途中の進捗状況が把握できるとか、いい加減にしていただきたいものです。こんなこと平然と進めて、あとはどうなろうが知らんなど、関係者は下手すれば、訴えられる可能性もあり、歴史に汚点を残すことになるのは明白であり、簿記会計の勉強して、出直すべきことをお勧めしたいと思います。
  4. C表(126社)の四半期続黒字計上企業について述べると、黒字継続という意味で、望ましい決算であり、経営のあるべき姿と言えなくはないが、しかし、黒字連続であっても、1Qの倍が2Qの数字で、3倍が3Qの数字、4倍が4Qの数字なら、1Qだけやりその4倍すれば済む話であるが、そうでないことはこれまで述べてきたことで明白であり、であるならば、四半期決算でなくても、半期と期末で十分であり、1Qと3Qはなくでもよいことになり、あえていえば、1Q,3Qは無駄、不要ということになるのです。そんな無駄な時間あるなら、利害関係者のため、会社の将来のため、時間、労力を有効に使うべきではありませんか。
    連続黒字とは言え、中には、期末の黒字が1,2,3Qの黒字より1/6に下回っているケースがあるが、制度の主旨からあり得ないこと思われますが如何でしよう。「第一四半期の倍数が、その後の利益であると思い込み」間違った理論展開してきたようですが、それこそが、これまで過ちの素となってきた素人の考えであり、専門家と称する方々も「専門家の錯覚」であると心すべきことなのです。
  5. 私の根拠とするデータの内容は以下の通りですので参照ください。

 

「補足事項」

以上の検証は、四半期決算終了後の実績結果についての検証内容ですが、補足として、各四半期の実績と実績の比較検討でなく、「予測と実績」という別な角度から、四半期決算不要論及び簡略化論を提案いたします。

別途、経営の基本問題として、「日本の上場会社は期末の業績・利益予測が可能か否か」について、3月決算上場会社約1800社の予想と実際、その乖離状況に関し、過去10数年検証してきて、既にHPに公開ずみですが、検証結果は、以下の通りです。(本提案により、かって制度化された中間決算制度の「致命的欠陥が是正された経緯があります」)

  1. 日本を代表する企業であっても、期末までたった1ケ月前の利益予測でも、実績は、想像を絶する乖離があり、結論として、上場企業にも、予測はできない、できていない、できると錯覚し、間違いを平然と繰り返してきたということが明らかなのです。
  2. 実態として、既にHPに公開済みですが、1ケ月前の予測に対し、黒字予測が想像を絶する額の赤字に転落する事例が数限りなくあるのです。乖離の激しい事例を数社列挙しますと、2/3期の事例ですが、ソフトバンクは1ケ月前の利益予想額1兆円に対し9615億円の赤字に転落、約2兆円の赤字増、日産自動車は650億円の利益予想が6712億円の赤字に転落、JFEは130億円の利益予想が1977億円の赤字に転落、丸紅は2000億円の利益予想が1974億円の赤字に転落等々、以下省略しますが、会計学者プロの皆様信じられますか、そして理解できますか、これが日本を代表する一流企業の利益予測の実態なのです。
    その他、内容はHPにゆだね省略しますが、赤字予測が予想外の赤字拡大、黒字予測が想像外の黒字拡大、少ないが赤字予想の黒字転換企業が数社、この10年で、予測通りなど1800社中、一社か多くても5社前後にすぎなく、ほとんど99%が予測にほど遠く、利益予測ができていないのが、実態なのです。
  3. だとすれば、1ケ前の予測もできないのに、四半期の3ケ月単位の四半期決算の実績など、期末の業績に有用な情報であるはずがないではありませんか。詳細データはHPにゆだね省きますが、四半期の結果が「中間決算と同様、期末業績を予測する有用な情報でない」とすれば、四半期決算など意味ないではありませんか。「中間決算は期末業績を予測するに有用な情報を提供するものでないことが明白」になったので、中間決算が廃止されたのではありませんか。四半期決算情報は、中間決算情報よりその有用性がはるかに低く、期末の業績を予測する有用かつ重要な情報でないのであるから、中間決算制度の廃止は遅きに失しましたが、四半期決算も遅きに失しないよう、即刻、廃止すべきではありませんか。

 

以上の分析は、日本、世界で初のものであり、日本の世界の会計専門家も理解していないものです。もし理解していれば、このような無駄、不要なものは制度化されていないはずだからです。どうか、アメリカ、西欧の50年遅れの考えなど気にすることなく、日本の国力、企業力、経営力、会計力を高めるため、四半期決算の廃止、もしくは半期決算にするよう提案する次第です。

 

結びとして、内閣府参与の公益資本主義実践協会代表理事原丈人氏が政府、関係者に提案した「日本が初めて四半期決算廃止を表明した国になってほしい」を結びとしたいと思います。

 

令和4年5月吉日 

会計・経理研究者 伊戸川 匡

【添付資料】

 A表 四半期で赤字なのに、期末で黒字に転ずる企業の検証(32社)

 B表 四半期・連続赤字企業の検証(25社)

 C表 四半期・黒字なのに、期末に赤字転落企業の検証(4社)

 D表 四半期・連続黒字企業の検証(126社)

 「基本資料」 日経平均株価採用銘柄225のうち3月決算187社の決算概要