大手商社の業績予測と乖離状況(我が国5大商社の業績予測比較)

上場企業トップの皆様、会計専門家の皆様

これまで、東芝、拓銀、山一証券、雪印、ソフトバンク、中央青山監査法人(公認会計士)等について取り上げてきましたが、今回は日本の大手商社(5大商社)の業績予想と実際、その乖離状況について、取り上げたいと思う。

売上高(億円) 純利益(百万円)
商  社 決算 予想 実際 差額 % 予想 実際 差額 %
1,伊藤忠 3.3 100,000 103,626 3,626 4 400,000 401,433 1,433 0
2,丸 紅 3.3 61,000 63,324 2,324 4 190,000 225,343 35,343 19
3,三井物産 3.3 60,000 80,102 20,102 34 270,000 335,458 65,458 24
4,住友商事 3.3 42,000 46,450 4,450 11 -120,000 -153,067 -33,067 -28
5,三菱商事 3.3 120,000 128,845 8,845 7 200,000 172,550 -27,450 -14
合計 383,000 422,347 39,347 10 940,000 981,717 41,717 4

(予想数字は、決算期末のほぼ1ケ月前の3月初旬に、上場企業の義務として、会社が日経新聞に発表した数字です)

  1. 上記1~3までの三社について
    伊藤忠、丸紅、三井物産3社については、売上も利益も、予想に比べともに増えており、わかりやすい増収・増益であるので、それなりに納得できます。
  1. 次の住友商事について

(1) 売上は予想より4,450億円も増えているのに、純利益は予想より330億円減っています。
売上が予想より増えているのに、純利益は予想より減っていますがなぜなのか、会計的理由は何でしょうか。
(2) 更に、1年前の期首予測との比較なら、大差があっても不自然ではありませんが、期末までたったの1ケ月前の予測数字との比較なのに、どうしてこんなに差が出るのでしようか。

  1. 三菱商事について

(1) 売上が予想より1兆円近い8,845億円も増えているのに、純利益は予想より274億円減っています。売上が増えているのに、なぜ利益が減るのか、会計的根拠は何でしょうか。
(2) しかも、1年前の期首の予測との比較なら、乖離があっても不自然ではないが、たった期末1ケ月前の予測との比較なのに、なぜこんなに差が出るのか、会計的な根拠は何なのでしょうか。
(3) 1ケ月前の予測ということは、1年12ケ月のうち、11ケ月分はほぼ確定しているはずであり、残る一月で1兆円近い8,845億円の売上げが増えているのに、どうして利益が減るのでしょうか? 売上が増えて赤字転落企業が多々ある中で、売上増で赤字転落でないだけまだましとお思いでしようか、上場企業トップの皆様納得できますでしょうか?
利益の元である売上増やしても、利益出ないなら、売上を増やす経営努力とは一体何なのでしょうか。トップの皆様如何でしょうか?

  1. 日本を代表する天下の三菱商事でさえ、利益予測に狂いが出るということは、「そもそも利益予測はたとえ1ケ月前でも、できないということなのか」それとも利益予想は可能ではあるが、たまたま予想が外れたということなのか、それとも専門家、世間が利益予測は可能であると思っているその思いは「錯覚なのか」、それとも、そもそも利益予測は可能なのか、可能でないのか、可能とするならその会計的・理論的根拠は何か、可能でないとすれば、その会計的・理論的根拠は何か、原点に立ち返って、お考えになったことが、あるのかないのか、会計専門家の皆様如何でしょうか?
  1. 会計に関する、基本の基本に関する事柄ですが、トップの方、会計専門家の皆様のお考えは如何でしょうか。見解をお聞かせいただけましたなら、会計の世界もまだ救いありと思いますが、如何なものでしょうか?(完)