上場企業で[売上総額と赤字総額が同額]なんて信じられますか(上場会社で信じ難い決算数字)

別途掲載したホームページの「赤字高額ランク」に関する決算情報中、改めて強調したいことがありますので、ご覧いただきたく思います。

 

大日本住友(新社名・住友ファーマ)の決算内容について、上場企業の「会計処理と会計監査、内部統制と業務監査のあり方」として、あるべきことか否か、について問題提起します。

  1. 医薬品の大日本住友の6,3月期の決算実績は、売上3145億円、営業利益3548億円の赤字、経常利益3231億円の赤字、純利益3149億円の赤字となっています。
  2. これらの数字を拝見し、皆様はどう思われますでしょうか。私はこれらを拝見し、こんなことありえない、こんなこと世にあるはずない、これは印刷ミスか何かの事務的ミスかでないかと思いましたが、確認しても事実らしく、頭が混乱し、これまで続けてきた分析作業が中断してしまいました。
  3. 何に混乱したかについてですが、繰り返しになりますが、「この会社の高額の赤字額が売上額と同額」だったということです。年間の最終赤字額が3149億円の赤字なのに、売上額もほぼ同額の3145億円の売上なのです。つまり3145億円売上てもその全額が赤字となっているのです。最終利益の「純利益」段階なら特別損失等もあり、あり得ないことでもないなと思いはしましたが、特別損失を含まない「経常損益」の段階で3231億円の赤字であり、更に言えば特別損失を含まない「営業利益」の段階ですら3548億円の赤字であり、揃いも揃って、「営業利益、経常利益、純利益」すべての段階で、売上と同額乃至売上高以上の赤字額なのです。こんなことが「会計の経営のあるべき姿」と言えるのでしょうか、皆様は理解できますでしょうか?

    もし会計監査上、これらが不適正であれば、上場廃止等の理由となり、上場廃止となってもおかしくはありませんが、監査報告書には不適正とは表記されておりませんし、上場廃止になっていないようですから、監査法人の会計監査は適正であり、監査役会の「内部統制、取締役の業務監査」も適正ということになっているのです。3145億円の売上で、3149億円の赤字計上しても、内部統制、取締役の行動は適正ということなのです。
  4. 理解しにくいことなので、別な企業に当てはめて説明すれば、売上・利益日本一のトヨタに当てはめれば、トヨタの売上は45兆953億円ですが,売上額と同額の45兆円の赤字を計上するということになるのです。ホンダの売上20兆4288億円、ソニーの売上13兆207億円、日立の売上9兆7287億円、日本製鉄の売上8兆8680億円と同額の赤字を計上するのと同じことであり、それでも、監査法人の会計監査は適正であり、問題なし、監査役の取締役の業務監査も適正、問題なし、の監査になるということなのです。こんなことあり得ないことと思いますが如何でしょうか?

    心ある会計関係者の方もなんじゃこれと思っているのではありませんか?しかしこれが日本の会計制度・法制度の実態なのです。会計の世界は、何か大事なことに欠け、基本の基本を間違えていると思いませんか?先進諸国のヨーロッパ、アメリカも困っていて、トランプも何とかならないか、せめて「四半期決算廃止」できないか、と助けを求めているのです。我が国においても、黒字予想で発表したはいいが、結果が大赤字転落で、社内外に恥をさらした経験のある皆様、今の制度のままでは、これからも恥をさらしていくことになるのです。恥さらしで困っている人が日本だけでなく、世界中にいるのです。であるならいっそのこと、「どうすれば恥をかかずに会計業務をこなせるか」「どうすれば利益予想が可能か」世界の会計先覚者として、「会計原則、会計制度」改革に立ち上がりませんか?苦い体験者の一人として、お手伝いさせていただきますので、お声をかけてください。
  5. 以下赤字ランクの説明を続けます。赤字第二位は、同じく住友系のリーダー住友化学の3118億円の赤字です。経団連リーダー企業にしてこれですが、住友化学さんどうかされましたか?
  6. 赤字第三位は、ソフトバンクGの赤字2776億円です。以下シャープ赤字1499億円、IHI赤字682億円、東邦亜鉛赤字464億円、ディスプレー赤字443億円、アルプス赤字298億円、その他添付資料の通りですが全体で70社ほどあります。

 

(付属資料)

⑨赤字高額 ランク表

令和6年8月12日         
会計・経理研究者 伊戸川 匡