山一証券・破綻(かって日本に山一証券という大手証券会社があった)

24年前の平成91124日、4大証券の一角の山一証券が、巨額の簿外債務で経営破綻に追い込まれました。

山一破綻の原因となったのは、約2600億円にのぼる「簿外債務」だったようである。株価が下落する中、顧客の有価証券の「含み損」が表面化しないよう「損失を簿外」に隠し、虚偽の有価証券報告書をつくっていた。歴代経営陣は、問題を隠し続けたが、隠し切れずついに表面化し、「自主廃業」に追い込まれたということである。つまり山一は長年にわたり「粉飾決算、不正会計」をやり続け、ついに行き詰まり破綻したということである

 

 山一が経営破綻した日の記者会見で号泣する当時の野沢正平社長(当時79)の姿は、強烈な印象を与えましたがここに再現したい。

私ら(経営陣)が悪いんであって、社員は悪くありませんから!  どうか社員のみなさんに応援してやってください、お願いします!

  善良で、能力のある、本当に私と一緒になってやろうとして誓った社員の皆に申し訳なく思っていますですから、一人でも二人でも、皆さんが力を貸していただいて、再就職できるように、この場を借りまして、私からもお願いいたします!

 

なぜこのような事態になったのか、会社側のコメントは以下の通りである。

社長の野沢氏は、平成6年常務、平成8年には専務、1年後の平成9年には代表取締役社長に就任したが,東大卒かつ大蔵省担当を経験した者しか社長になれなかった山一証券で、私立大学(法政大・経済)卒の一営業社員からのたたき上げという異例の抜擢であった。そして、野沢氏は社長に就任してから初めて、山一証券が2600億円という巨額の「簿外債務」を知ったというのである。 

 更に、この問題はそもそも野沢氏が知らされた時点で、もはや手に負える様なものではない致命傷であり、東京証券取引所で株価の下落は止まらず、メインバンクの支援も得られず、最後には大蔵省にも見放される形で、山一證券の「自主廃業」を決定せざるを得ず、野沢氏が社長に就任して,僅か3ケ月での廃業決断だつた。とのことである。

 

以上が山一証券の破綻の概要でありますが、大きな疑問点として、野沢氏が高額の簿外債務の存在を、社長就任後に初めて知ったとされていることです。平成6年に常務に、その2年後に専務という要職に就任し、更にその翌年社長就任の人物が、取締役会、常務会等に23年も出席していながら、何を議論してきたというのでしょうか。しかも上場企業なら厳しい法的チェックや監査法人の外部監査を受けながら、かかる事態を知らなかったなどありえないことと思われるのです。公表どうりならまさかとは思いますが、知らないのは社長のみではなかったのかとさえ疑わざるを得ません。

  1. 以上の経緯から、山一証券という会社そのもの、そのトップにたつ社長は、私のHP「補足情報」「会計が泣いています」の「粉飾決算、不正会計、赤字隠し等に該当し、会計に疎い法学部、経済学部卒のトップ、会計などどうにでもなると会計を軽くみているトップ、経営能力なくいてもいなくてもどっちでもいいと思われているトップ等」にも該当し、山一證券の社員だけてなく、山一の「会計」もさぞかし、嘆き悲しみ泣いたことでしょう。

 

  1. 株主も、社員も、銀行も 誰も、粉飾決算など望んでなどいないのです。望んでいるのは、会計知識、経営能力のない役員だけということになりませんか。

 

  1. また、経営者が東大卒であろうが、ケンブリッジ、オックスフォード、早慶、法政卒であろうが、会計を軽く見るとこうなるという模範的事例なのです。

 

  1. もし、山一証券が会計を大事に思う会社であり、東大出の経営者が、会計等を馬鹿にしたり軽く見ることなく、自ら簿記、会計を学び、企業経営の基本の基本である「利益(業績)予測のノウハウ」を有していたなら、社員を泣かせることなく、他に打つ手もあったろうにと思うのですが、如何なものでしょうか。